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4月, 2017の投稿を表示しています

4/22 Lesson 計算してパターンに配列する刺繡と柔らかなニュアンスや遊び心のある刺繡

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4/22のスクールの内容 10月スタートクラスでは、ビーズ・スパンコールの課題や応用課題を進めました。 ビーズの刺繡では今回は刺しゅう部分の寸法(曲線の長さ)を計って1センチに何個のビーズを入れるか、大きいパーツを何個目で入れるかをあらかじめ計算し、その通りに刺していきます。  しかしやり方は一つではなく、もっと感覚的に仕上げたり、ビーズの間隔をランダムにしたい場合は、計算せずに刺していきます。大きなビーズ部分は飛ばしてステッチのみをして空けておき、最後に大きなパーツだけを針と糸で止め付けるというやり方もあります。前者は、最初に計算して大きいパーツも配列しておきますので、きっちりした雰囲気に仕上がります。 ビーズやスパンコールの個数や配置を記した図面と、刺繡したもの 後者は、柔らかなニュアンスや遊び心のあるものになるでしょう。パーツの大きさが色々あったり、不揃いな感じにしていく際に生きる方法でしょう。イメージするものに適した方法を選択していく事で、より豊かな表現やニュアンスを醸し出す事が出来ます。 今日、刺しゅうされていた方のものは、とても安定感のある美しい仕上がりになってきていました。ステッチ刺しゅうに数ヶ月間、集中して来た成果が出ているように思います。  あらかじめ計算し、その通りに刺しているもの 応用課題の方は完成に向けて全体感を見ながら、一部のカラー をビーズ刺しゅうを加えて調整される事になりました。ぎっしり敷き詰められたピンクのステッチはまるで生地のようにも見えます。生地であれば縦糸と横井と の交差になりますが、刺しゅうであるからこそ流れる様な糸の曲線美が見られます。完成が楽しみですね。  ぎっしり敷き詰められたピンクのステッチ 試験が来週に迫りましたので最後の練習を致しました。ビーズの刺しゅうを25分くらいで糸始末まで完了された方もいました。試験の際には、シャペスパンのコットン糸を使用します。こちらでご準備しますので、当日は刺しゅう枠とオレンジのオーガンジーをお持ち下さい。オーガンジーがない方はお声がけ下さい。    この機会を通じて、一つの目標をクリアしていく事で確かな自信をつけ、その技術と鮮やか...

スクールのコラム10  パリのオートクチュールのメゾンとLegeron(レジュロン)

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コラム10 今週のレッスンでは、先週のレッスンでリングピローを作りたいというご相談を下さった方が、それに使う材料のプリザーブドフラワーを買って来られました。小さな花弁のピュアな花々を見ると本当に愛らしく、そこに彼女の刺しゅうを添えると思うと、ずっと飾っておきたくなる様な素敵なピローになりそうな予感がしました。  そしてその後の体験スクールの際に、ご自分で作られた紫陽花のような素敵なお花(コサージュ)を見せて下さった方がいらっしゃいました。花びらのクルンとした花弁からグラデーションのカラー染色をし、立体的に形作られていてとても印象に残りました。    そんな花達との出会いに恵まれて、思い浮かぶのが、 Legeron(レジュロン)というパリで一番古い造花の老舗です。ここは創業1727年。現在の社長ブルーノ・レジュロンが4代目に当たります。オペラ 座に近いプチシャン通り20番地にある工房の、古い木製の扉を押すと、染料と湿り気を帯びた絹布の匂いがします。アトリエは秘密のアジトのようにワクワクする空間です。  造花のモチーフ(花弁) Legeron(レジュロン)というパリで一番古い造花の老舗 パリのオートクチュールのメゾンのほとんどがLegeron(レジュロン)のお得意様であるとも言われています。 「パリコレでも特に世界最高レベルを競うオートクチュールだから、ショーの当日まで持ち込まれている生地も造化のデザインも秘密。工房が緊張の頂点に達するのもその時期である。」(吉村葉子著:パリの職人)と記されるように、一見静かなLegeron(レジュロン)の工房は、クリエイティビティが生き生きと輝いて「流行」の瞬間を窺って、今にも溢れ出していきそうな気配がします。  まだ学生の頃、「こんな花を探しています!」と言うと、「本当は仕事の人しか入れないんだけど‥‥」と地下のアトリエに案内して下さいました。壁面一杯のコサージュの引き出し‥‥ ワクワクする様なアトリエの現場。「うわあっっ!! キレイ!」とその光景に釘付けになっていると「何かあったら呼んで。」とマダムが放っておいてくれたので、時間が過ぎるのも忘れて、引き出しを次々開いては感激の連続でした。触れる事...

4/15 Lesson リュネビル法のスパンコールやビーズの刺繡の完成度を高めるポイント

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4/15のスクールの内容 10月スタートクラスでは、ビーズ・スパンコールの課題、自由課題を進めました。 スパンコールやビーズの刺繡に慣れた方も増えてきました。 そこで更に完成度を高めるポイントをお伝えしました。 ●一つ一つのビーズサイズに合わせたステッチ幅の取り方 ●角などの図案に合わせ、パーツ数の調整をする事 ●慣れて来たら糸を引く力を加減していく事  愛らしい仕上がりになりました 円形のスパンコール刺繡は最後の方の針の刺し方に 少しテクニックが入ります 特に3点目の糸の引き加減 によって、スパンコールの安定感が変わります。これは刺繡枠から生地を外した時の生地の縮みだけでなく、以外に感じるかもしれませんが、力を緩めた方が パーツの配列自体も整ってきます。これは直に見ながらご説明した方が分りやすいと思いますので、聞きたい方はお声がけ下さい。  小さなリボンの輪郭に沿ってビーズが見事に埋められました 応用課題を進めている方の作品も着々と形になってきました。ステッチ刺繡や金糸刺繡、スパンコール・ビーズなど様々な表現がミックスされた素敵な作品に仕上がりつつあります。またこれから応用課題に入る方のアイデアにもワクワクさせられました。 そして、試験に向けてビーズ刺繡のテスト(模擬練習)をしました。今日の注意点として、交差するラインのビーズの配列方法をお伝えしてからやってみた所、交差の角度に合った美しい配列をされました。(交差の角度に合わせて開ける間隔を変える必要があります)カーブのビーズの間隔のバランスもいい感じになってきて回数をこなすごとに、着実に美しくなってきています。達成感も感じられたのではないでしょうか?  あとはスピードですが、これ は練習を重ねれば重ねる程、早くなっていきますので30分、紙を外す事を考えると25分くらいを目指して頂くと良いでしょう。気が張ったり緊張する事もあるかもしれませんが、毎回の模擬テストだけでも格段に皆さんの技能や手仕事のスピードや質が向上していますので、必ずプラスに生きていくでしょう。 交差するポイントの参考作品 1月スタートクラスでは、イニシャルのデザイン課題に入りました。素材の組み合わせのご相談いただき、あれこれと合わせてみまし...

スクールのコラム09  パリのアトリエから生まれたモナコ王妃のドレス

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コラム9   前回(4/15)のレッスンの際に、刺繡を生かして友人の結婚式のリングピローを創りたいということでご相談を受けました。こんな風にしたいとイメージを伺いながら思わず幸せな気持ちにさせて頂きました。そこで今日は、イメージする事について書いてみたいと思います。  私たちも、イメージする事の力をまざまざと感じさせられた事がありました。 それはは、ベルサイユ宮殿でルイ14世のご成婚衣装の実物の公開展示が行われ、希少な機会だという事で見に行った時。そこからはじまりました。 美術館に出かける様な気持ちで出かけたのですが、生まれて初めて何十分もの間、一つの作品の前で動けなくなるという“運命のドレス“との出会いを体験しました。 1681年に始まった ベルサイユ宮殿 の造営事業の時期はルイ14世の絶頂期であったとも言われています。貴族たちをべルサイユ宮殿内またはその周辺に住まわせ、宮殿内には1万人もの人々がひしめいていました。その広大な宮殿内の一室に飾られた衣装は、300年以上も前に創られたとは思えない、生き生きとした強く美しいエネルギーを放っていて‥‥ 視界に入った途端、思わず息をのみました。  それから3〜40分もの間、美しさを前に幸せで‥‥ただ、ため息がもれるようなひとときでした。王の長く引きずるマントに施された金の刺繡やブレード。何人の職人の魂がこめられたのだろうかと‥‥  そして王女のドレスに施された刺繡の美しさに、何人の職人の祝福の思いがこめられているのだろうかと‥‥  この時初めて、「服を仕立てる」という仕事も、美に全生命を懸けて魂を込めるという意味で、“命懸け”だったのではないかと、世紀の傑作を前に、ただただ感動しました。そして何度も何度も「いつか‥‥ 生きている間に、こんなものを作ってみたいね。」と同じ様な言葉を交わし、目と心に焼き付けました。         それから一年後の夏、モナコ王妃のご成婚が発表され、私たちはカクテルドレスを手がける事になりました。まずひたすらシャーレンヌ妃の写真という写真を見て、どんな色合いがいいか、どんなシルエットがスラッとした体型をより引き立てるか、どんな素材がいいかとイメージを固めていきました。 そして1ヶ月後...

4/8 Lesson リュネビル法のオートクチュール刺繡の試験に向け イニシャルのビーズ刺繍の練習

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4/8のスクールの内容  10月スタートクラスでは、クリムトの課題が終了した方はビーズ・スパンコールの課題を進めました。 クリムトの課題では背景の部分を担当されていた方が完成されました。2本、3本の違う色の糸のミックスで刺繍されていて、奥行きや立体感も感じられます。刺繡独特の雰囲気と共に、クリムトの絵の豊かな表現が形になった 仕上がりになりましたね。 クリムトの課題:背景の部分   今回は試験に向けてイニシャルのビーズ刺繍に取り組みました。丸ビーズでイニシャルのラインをたどっていきます。 カーブのかかった所はステッチを細かく、緩やかなラインは少しビーズの間隔が空くくらいで刺していきます。 ビーズ刺繍に入ったばかりの方もいらっしゃいましたが、思い切ってチャレンジして下さいました。 30分程度出来る所まで進めて頂いた所で今日は終了しました。裏をかえして表面に仕上がった刺繍を見て、ビーズが上手く並んでいなくて、びっくりした方もいたかもしれませんが、最初は急ぐとそういう事はよくあります。私もはじめは、一つのステッチに2個もビーズがぶら下がったり、刺繍したつもりの場所にビーズがなかったりというあり様でした。 しかしステッチ刺繍の時と同じように、ビーズを触り慣れて指先で送れるようになると、楽に進められるようになりますので安心して下さい。急いでも、必ず手がついてくるようになります。これも自転車と同じで、補助輪なしでも乗れる感覚を掴んで、毎日乗っていれば、かなりスピードを出しても、立ち漕ぎしても倒れる事や不安すらなくなります。刺繍も同じなので、慣れてくると颯爽と刺していける気持ち良さも味わうようになるでしょう。 1月スタートクラスでは、イニシャルのデザイン課題を進めました。 リュネビルサテン(サテンステッチのリュネビル版)のキレイに刺すのコツをさらにご説明しました。 ⚫︎リュネビルサテンの細く仕上げるコツ ⚫︎輪郭をキレイに整えるポイント 仕上がってきたリュネビルサテンの存在感によって強弱が出てきました。シャネルツイードなどの生地やリボンも、一段と刺繍を華やかにしてくれそうですね。 今日は、私もビーズを散らしてしまいましたが、拾い集めて下さりありがとうございました。さりげない手を温かく嬉しく思いまし...

スクールのコラム08  仕立てにも施される小さなサプライズ。フランスから日本へ

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コラム8   前回(4/8)のレッスンではビーズを拾うのを手伝って下さりありがとうございました。 さりげなく手をかしていただき嬉しく思いました。 手仕事の小さな配慮にも、「視界に入ったときのインプレッションを劇的に変える魔法」があるように感じます。 パリ市内のバスに乗っていた時、年配の女性に「マダム、どうぞ。」 と席を立った少年の姿が、あまりに自然でとても爽やかでした。メトロへの階段で「手伝いますよ」とトランクをさっと運んでくれる人。改めて素敵な街だなと 思いました。そんなかゆい所に手を添えられる様な日常の中で、いつしか自分も身体が動くようになりました。人々が当たり前にしていることでしたが、やって みると本当に清々しい気持ちになります。  ある日、渋谷の階段を下りていると前方で年配の女性が重いトランクによろめいていらっしゃいました。ついいつもの調子でトランクに手を のばしてしまい、「お手伝いしますよ」と声をかけた時には、「まさか持っていかれるのかしら!」と不安に思われてしまったようでした。しかし、階段を下り荷物から手を離すと、感激の笑顔を見せて下さいました。 まるで「世の中にこんな事もあるのね!」という様な 驚きの‥‥!「こんな素敵な笑顔の方なんだ!」その表情がとても心に焼き付いて、まる互いにサプライズし合ったような一時でした。「手伝う時にはまず先に声をかけなきゃ。」と反省しつつも、その笑顔がしばらく頭から離れませんでした。    そして数週間後、今度は自分がトランクを抱えて階段を下りようとしていると、「下まで運びましょう。今、お声がけ(週間で)するようにしてるんですよ。」と紺色の駅員さんか警察官の様な装いの方が運んで下さいました。この時は荷物が重く、トランク以外に鞄もあったので、「休まず下まで下りられるかな‥‥」と思った瞬間でした。たとえ業務の一環であってもありがたいなと、日本も変わっていくのかな。と感じました。    小さな配慮やサプライズは、顧客の洋服の仕立てで言えば、その人の“希望や願い”を聞き、“言葉に出来ない雰囲気”を表現することなのかもしれません。また、仕立てながら“生地や素材の声“を聞く事。感じ取る事。そうした中に見...

4/1 Lesson シャネルやディオールなどでも生み出されているデザイナーのクリエイティビティに応える新しい刺繡技法

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4/1のスクールの内容 10月スタートクラスでは、クリムトの課題が終了した方はビーズ・スパンコールの課題を進めました。 クリムトの課題では顔の部分を担当されていた方が完成されました。更に顔全体を刺繡で埋めてからハンドステッチでなじませて仕上げをされました。小さな配慮ですが、グラデーションに柔らかな雰囲気が出てきた様に感じます。ステッチの流れに味のある優しい仕上がりになりましたね。   クリムトの課題:顔の部分   スパンコールやビーズの刺繡は今まで使っていなかった左手も同時に動かしていく事になりますので、慣れるまでは少し大変ですが徐々に動くようになっていきます。パーツを移すときの糸の結び方や、パーツの送り方など説明の後、順にやってみて感覚的につかんでいただきます。 応用課題でやってみたいと相談された羽があり、大きさ的に羽の一枚一枚の表現が難しいというお答えをしました。 しかし、羽のイメージが伝わって来たので気になって、いろいろ試してしてみました。重ね合わせたり、輪郭を描かずに並べ‥‥結局ステッチ部分は4本のスパンコールのラインが並ぶだけのシンプルなものになりました。少し描いていたものと違うかもしれませんが宜しければ今後の参考にして下さい。    参考 : 翼 ‥‥ スパンコール刺 繡 の 細かいステッチを 大きくしていき 、 それを 4 列ならべたも の           1月スタートクラスでは、イニシャルのデザイン課題に入りました。イメージやデザインから各自で創り上げていきますが、ベースの形が出来上がってきましたね。さらに色や素材のイメージを固めて進めていって下さい。 上の写真のような「ステッチのフランス語名が知りたい」という質問がありましたのでお答えさせて頂きます。 日本語ではサテンステッチと呼ばれています。フランス語では刺繡のステッチ名としては Point de passé plat(ポワン・ドゥ・パッセ・プラ)と呼ばれています。直訳すると「平らな移動のステッチ」という様な意味になります。  しかし更にそのサテンステッチには、Petal Satin(ペタルサテン)「花びらのサテンステッチ」...

スクールのコラム07  デザイナーのクリエイティビティに応えるパリのスペシャリスト達

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コラム7  シャネルやディオールなど、多くのメゾンでは伝統的な刺繡技術から更に、デザイナーの鮮烈なクリエイティビティに応えるための新しい手法が、次々とスペシャリスト(職人)の手によって生み出されています。 今日はそうした新しい技術の現場を少しのぞいてみましょう。様々なメゾンで最先端のトレンド発信のために実に斬新な取り組みが成されています。  まずは多くのメゾンで行われているオートクチュール(フランスの伝統的な高級注文服の仕立て技術)の手仕事や刺繡をご覧下さい。生地をカットしたモチーフの立体的なディティールや。細やかな刺繡。オートクチュールならではの華やかで暖かみのある手仕事が一杯です。映像の0:58の所で出てくるリュネビル法の刺繡をしている職人さんの素早い刺繡は必見です。このメゾンの Georges Hobeika ジョルジュ・オベイカ氏はレバノン出身の大御所デザイナーです。   そしてこちらはシャネルのアトリエの様子です。0:30の所では四角いパーツを止め付ける刺繡。糸の十字の止まり具合が、ざっくり止められてる様なランダムさも可愛らしいです。1:12ではスパンコールとビーズをダブル、トリプル‥‥と何段も積み上げた様な刺繡。そして1:35では竹ビーズが立体的に立ち上がっていたり、大きなスパンコールを折ったままのものが立体的に付けられていたり‥‥。宝石の様な刺繡‥‥。まさにこの1着1着のために編み出された技術やクリエーションが詰まっています。新しい素材やステッチなどの技法は、クリエイティブな一点の服を創り上げる過程で自然と生まれてくる智慧やアイデアでもあるでしょう。  こちらは ディ オールのアトリエの様子です。 刺繡と洋服を組み立てていく過程における新たな工夫。デザイナーや、スタイリスト、シェフ(チーフ)、職人さん、などの物ずくリのやり取りが、ちょっとコミカルなショートストー リーのように描かれていて面白いです。ここではデザイナーの描く刺繡を衿から刺繡が自然に身頃に流れていくように形にする事がテーマの様です。平面上の刺 繡の柄合わせなら簡単ですが、衿と身頃は、首筋から肩、胸といった立体の構造上で㎜単位まで気を使いながら柄合わせをしなければなりません。3:36「ブラボー!」 (素晴らしい!)なんて言いな...