スクールのコラム07  デザイナーのクリエイティビティに応えるパリのスペシャリスト達

コラム7 

シャネルやディオールなど、多くのメゾンでは伝統的な刺繡技術から更に、デザイナーの鮮烈なクリエイティビティに応えるための新しい手法が、次々とスペシャリスト(職人)の手によって生み出されています。

今日はそうした新しい技術の現場を少しのぞいてみましょう。様々なメゾンで最先端のトレンド発信のために実に斬新な取り組みが成されています。 



まずは多くのメゾンで行われているオートクチュール(フランスの伝統的な高級注文服の仕立て技術)の手仕事や刺繡をご覧下さい。生地をカットしたモチーフの立体的なディティールや。細やかな刺繡。オートクチュールならではの華やかで暖かみのある手仕事が一杯です。映像の0:58の所で出てくるリュネビル法の刺繡をしている職人さんの素早い刺繡は必見です。このメゾンのGeorges Hobeikaジョルジュ・オベイカ氏はレバノン出身の大御所デザイナーです。






 


そしてこちらはシャネルのアトリエの様子です。0:30の所では四角いパーツを止め付ける刺繡。糸の十字の止まり具合が、ざっくり止められてる様なランダムさも可愛らしいです。1:12ではスパンコールとビーズをダブル、トリプル‥‥と何段も積み上げた様な刺繡。そして1:35では竹ビーズが立体的に立ち上がっていたり、大きなスパンコールを折ったままのものが立体的に付けられていたり‥‥。宝石の様な刺繡‥‥。まさにこの1着1着のために編み出された技術やクリエーションが詰まっています。新しい素材やステッチなどの技法は、クリエイティブな一点の服を創り上げる過程で自然と生まれてくる智慧やアイデアでもあるでしょう。 








こちらはディ オールのアトリエの様子です。刺繡と洋服を組み立てていく過程における新たな工夫。デザイナーや、スタイリスト、シェフ(チーフ)、職人さん、などの物ずくリのやり取りが、ちょっとコミカルなショートストー リーのように描かれていて面白いです。ここではデザイナーの描く刺繡を衿から刺繡が自然に身頃に流れていくように形にする事がテーマの様です。平面上の刺 繡の柄合わせなら簡単ですが、衿と身頃は、首筋から肩、胸といった立体の構造上で㎜単位まで気を使いながら柄合わせをしなければなりません。3:36「ブラボー!」 (素晴らしい!)なんて言いながらキス。こんな感謝の表し方もフランスらしいですね☆ 
 




こうして見ると、特別な世界の話しにも思えますが、作り手にとっては身近な毎日の中での工夫やひらめきでもあるのかもしれません。それは丁度、ごはんを作りながら、そうだこんなふうにしてみたらどうかな?と新しい素材のバリエーションが生まれたり、新たなレシピが出来たり‥‥。あるいはネクタイや洋服の新しい組み合わせ、着こなしを発見したり‥‥。過去の経験や知識が生かされ、更に発見や新たな見方、出会いに気が付く。そんな日常の中のささやかな気付きや感謝であるのかもしれません。そして人間に与えられているこの世界の「無限の可能性」をも感じさせられます。

現代では一日の中で押し寄せてくる物・事・情報は‥‥実に膨大です。でもこうした自ら発見したり、工夫したり、感じ取ったりするクリエイティブな感性も大切にしていきたいですね。





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