スクールのコラム10  パリのオートクチュールのメゾンとLegeron(レジュロン)


コラム10

今週のレッスンでは、先週のレッスンでリングピローを作りたいというご相談を下さった方が、それに使う材料のプリザーブドフラワーを買って来られました。小さな花弁のピュアな花々を見ると本当に愛らしく、そこに彼女の刺しゅうを添えると思うと、ずっと飾っておきたくなる様な素敵なピローになりそうな予感がしました。 
そしてその後の体験スクールの際に、ご自分で作られた紫陽花のような素敵なお花(コサージュ)を見せて下さった方がいらっしゃいました。花びらのクルンとした花弁からグラデーションのカラー染色をし、立体的に形作られていてとても印象に残りました。 

 
そんな花達との出会いに恵まれて、思い浮かぶのが、 Legeron(レジュロン)というパリで一番古い造花の老舗です。ここは創業1727年。現在の社長ブルーノ・レジュロンが4代目に当たります。オペラ 座に近いプチシャン通り20番地にある工房の、古い木製の扉を押すと、染料と湿り気を帯びた絹布の匂いがします。アトリエは秘密のアジトのようにワクワクする空間です。 


造花のモチーフ(花弁)

Legeron(レジュロン)というパリで一番古い造花の老舗


パリのオートクチュールのメゾンのほとんどがLegeron(レジュロン)のお得意様であるとも言われています。

「パリコレでも特に世界最高レベルを競うオートクチュールだから、ショーの当日まで持ち込まれている生地も造化のデザインも秘密。工房が緊張の頂点に達するのもその時期である。」(吉村葉子著:パリの職人)と記されるように、一見静かなLegeron(レジュロン)の工房は、クリエイティビティが生き生きと輝いて「流行」の瞬間を窺って、今にも溢れ出していきそうな気配がします。 













まだ学生の頃、「こんな花を探しています!」と言うと、「本当は仕事の人しか入れないんだけど‥‥」と地下のアトリエに案内して下さいました。壁面一杯のコサージュの引き出し‥‥ ワクワクする様なアトリエの現場。「うわあっっ!! キレイ!」とその光景に釘付けになっていると「何かあったら呼んで。」とマダムが放っておいてくれたので、時間が過ぎるのも忘れて、引き出しを次々開いては感激の連続でした。触れる事をためらってしまうような、繊細さや生き物の様な生気。全て人の手で作られていて、ピュアな心や遊び心が伝わります。  








ドレスのオーダーの仕事やパリコレクションの作品制作をする様になると、シルクの生地を持ち込んで「この生地でこの花を作ってほしい」と打ち合わせ、オーダーをしました。どんな素材でもべたっと重くならずに、特にシルクは軽やかな透明感あふれる美しいオーラがあって惹き付けられるのです。




手で一枚一枚 染色された花びら
  


レジュロンの花は本物より美しい。本物より艶やかなどと言われています。白磁色の椿の花など、本当に息を呑む美しさです。フランスの一流の職人の手によって依頼者の意図を忠実に表現するクリエーションが行われています。彼らには、デザイナーの作品の一部になりつつ、作品全体に豊かな表情を与えることに徹し、その一部に職人の感性と技量の全てをこめる。その誠実さと謙虚さに感動を覚え、心からを抱きます。Legeron(レジュロン)の花はどんなに小さなものでも、装いの全てに品格と美しさを添え、身につけるとその価値や幸せを確かに感じるのです。





更に興味がある方は、こちらから動画でLegeron(レジュロン)のアトリエの仕事をご覧になれます。↓
http://www.dailymotion.com/video/x118xg7_a-la-rencontre-de-bruno-legeron-fleuriste-et-plumassier-a-paris_creation

 


一階では帽子やコサージュが売られておりショップになっていますのでどなたでも入れます。機会があったら是非。Legeron(レジュロン)の世界に触れてみて下さい。







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