3/2のレッスンの内容 


デザイナーコースでは、セルフブランディグのワークに取り組みました。ギリシャの哲学から進化してきたイデア(発想する)についてのレッスンを生かし、新たな発想で具体的な一日、一週間の目標を決めて、実際にやってみる。と言うワークに取り組みました。今までの自分ならあまり発想しなかったテーマを取り上げてみよういうことでしたが、「最近、結果や成果が評価される事にしか心が動かなくなっていたかもしれない。」と言われていた方が、「笑顔でいる。」というごくシンプルなテーマを掲げられ、とても心が澄まされる様な新鮮な気持ちにさせられました。その瞬間から、既にその人の今までとは違った別の魅力を感じさせられたような気がしました。



スペシャリストコースでは、それぞれの課題に取り組みました。応用課題でスパンコール刺繡のドレス制作に挑戦された方のドレスが完成しました。キラキラした柔らかな透明感の中に夢が詰まっているようです。

 
胸元に何種類かの大小のスパンコール刺繡をしたドレス


ドレスを仕立てるとき、そこにあしらうビーズやスパンコールは、わずかな違いの色彩や、0.数㎜単位のサイズ、光沢感の種類といった、微妙なニュアンスを見ていきます。いくつもの試作を作り、その中から光るものを紡ぎ出していくような仕事。それは、「技術」が単なる物体を形成していく一工程なのではなく、心でイメージしたものをより豊かに魅力的に形にしていくエッセンスに満ちている事を思い知らされます。その創り手にしか出来ない、それでいて無限の可能性に満ちた創造の瞬間が凝縮されています。

ひとつひとつの課題で、同じ図面を基にしても、それぞれの人が違った個性あるものとして完成させていく姿にも、刺繡や仕立ての技術の奥行きや豊かさが感じられます。ですのでもしも制作に行きづまった時や、創らなくてはと迫られて余裕がなくなったときは、目の前の事だけでなく、いつか自分が形にしてみたい理想の作品を見てみたり、感動する様な美しいものに触れてみて、心を耕して頂けたらと思います。






オートクチュールスペシャルコースでは、引き続きグループごとにコルセットを用いたドレスの仕立てをしました。デザインに合わせ、ドレーピングをしたり、制作した刺繡の試作の中から、本番の内容を決めていきました。

どんなスパンコールやビーズで、カタチにするか試作していきます

大きな白いスパンコールを中心にする事に

立体的に組み合わせ、最終的なイメージが決まってきました


カットワークや土台にくる生地も合わせて確認

 
こちらのチームはゴールドを基調に



3グルプ目のデザインはシンプル刺繡が映えそうです





Elieuxでは、コルセットを単にウェストを細く見せるために付けているわけではありません。コルセットは、日常的なものではなくなって、今のファッションでもあまり見られなくなっています。それでも、17パーツもあるピースを、一ミリもずれないように縫い合わせ、時間のかかる作業を繰り返して創り上げる事の理由は、着る人の心から醸し出される美しさを最大限に表現したいからです。着物を着た時、帯を締めると窮屈ですが、なぜか気持ちや姿勢が引き締まり、凛とした美しさが引き出されます。コルセットも、日常から離れた一生に一度、あるいは何回かの特別な日に、その人の内面の本来の美しさが引き立ち周囲をも幸せに満たす様な一着としたいからです。

レースアップの紐を引き締め、ドレスが体一体化していく時、緊張感と期待感が入り交じった感覚になりますが、着た人の輝きに感動する周囲の視線が、更にその人の自信と輝きになって循環し、その空間を美しさで満たします。マイケルジャクソンの言葉に「セクシーさっていうのは心の中からかもしだされるもので、外見じゃない。」というものがありましたが、人の魅力も心の中からかもしだされるものであるように感じます。私たちの創るものも、単にドレス自体の見た目が美しいだけでなく、着る人の心が溶け合ってその人にしかない本来の美しさを溢れさせるものでありたいものです。その時に、目に見えない㎜単位の多くの仕事が、機械だけではなく、芸術品が創造されるように、あたたかい人の手と様々な配慮や愛で作り上げられていたとしたら、一生に一度の特別な日の幸せ感やその価値は、その人にとって宝物の様になっていくでしょう。
一流の美術品やジュエリーには、職人達の熟練された技術が最も洗練された形で表現されています。その技術は、工業的な生産手段としての技術の域を超えた、人の手の奥にある職人や芸術家の魂が注ぎ込まれたものです。皆さんにも、ひとつひとつの技術をまずは手に覚えさせ、その技術に心をのせていける様な至福の喜びを味わって頂き、活躍して頂けたらと思います。


今週も皆さんのクリエーションの時が輝きます様に。




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