5/27 Lesson オートクチュールコース 手縫いの基礎と宮廷のファッションからマリー・アントワネットのエピソード
今回のオートクチュールコースでは前回の基礎縫い練習をした生地を使用し、さらに次の手縫いの基礎練習を進めました。縦に裂いた生地端をフリンジ状に糸を抜き、その生地端を折り込み、配置。触れていくうちに、布という存在から、縦糸と横糸が交差した織物を扱う(見る)感覚が出て来て、皆さんが生地の地の目を追いながら仕事をされるようになって来たのではないかと感じました。
基礎の手縫い練習 |
生地を配置して45度の角度で織り込み整えて、斜めじつけ をしていきました。今回は、縫い目や針目はある一定の寸法のガイドに従って縫っていき、その後は目分量で進めていきました。斜めじつけも部位や素材の厚 さ、その目的に応じて使い分けていきます。ドレスの仕立ての際にもよく使います。
斜めじつけの練習 |
ドレスの仕立てに絡んで、少しオートクチュールの原型が生まれたと言われるフランス宮廷の歴史の中のエピソードを添えます。
宮廷のファッションリーダーと言われたマリー・アントワネットのファッションの専属の仕立て人(デザイナー)だったローズ・ベルタンは、「王妃のファッション大臣」と称され宮廷で一目置かれていました。王妃の私室で半日以上も二人きりでこもり、新しいドレスやヘアスタイルを生み出していきます。そして服飾や工芸の文化の新しい技術やスタイルの誕生と成長の原動力となていきました。年間にして170着以上を購入していたといいますので、お針子の数は相当だったのでしょう。
ローズ・ベルタンは、1800年代にシャルル・フレデリック・ウォ ルトが「ラ・シャンブル・サンディカル・ド・ラ・クチュール・パリジェンヌ(フランス・クチュール組合)」の略称「サンディカ」を創設しますが、その前身 であるモード商人組合の略称「サンディック」の理事を務めています。
マリーアントワネットのドレスの生地見本帳のレプリカ (デザイン画と実際の生地がスクラップされています。) |
バックが引き裾の宮廷衣装 |
イギリス風ドレス |
シュミーズドレス |
着用時はパニエ, ローブ, ジュップ(ペチコート), ピエス・デストマを身につけていき髪を結い上げていくので、かなり時間がかかります。
ローズ・ベルタンはモード産業を組織化し、国際ビジネスウーマンとして活躍した女性とも言われています。
高級自動車や時計産業などでも技能者による手作りが今も尊重されていますが、オートクチュールもコストや納期に拘らない限定されたマーケットにおいて細部にまで愛をこめ人々の夢を創り続ける存在であるでしょう。皆さんの一針一針からも、いろいろな愛や夢が拡がって行くことでしょう。
次回のスクールも前回と同じ西麻布の講習室で15:30からとなります。
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