スクールのコラム02 フランス人のインターン生達からのサプライズ。パリのアトリエより

コラム2
 
「心に残るインプレッションや雰囲気」について
前回のコラム1のインターン生の方達とも、 

心に残る場面を共有させていただきました。

1ヶ月はあっという間なので、それぞれの方の得意分野で携わって頂きました。 最初は上手く出来ない事も繰り返す中で、コツを掴み出来るようになっていきます。 そうした中で知る事や形にする事に常に新しい発見をする様な喜びを見せてくれる彼らには 新鮮な風をも感じさせられました。

最も心に残ったのは、インターン生の彼らにモデルをしてもらう事になったときの事です。 丁度、背が高くすらっとした女の子と男の子に合いそうだという事と、またそれ以上に制作段階から共にイメージを深め描いてきたコンセプトを 彼らなら表現してくれるだろうと感じたからです。 



お客様に光るベールの撮影の許可をいただき、ドレスはコレクションモデルの中から選び、メンズに関してはスタイリングのセンスを感じたので、花びらの指輪を作っていた彼に考えてもらうことにしました。

思った以上に喜んで、彼らの仕事はますますはかどっていきました。 撮影のアイデアの話題で持ちきりになりながら‥‥ 愛情がこもるとますます愛着も湧いていく様です。 何度も室内のライトを消し花びらのバランスを見ながら、とうとう完成へ‥‥ 


光るベール(お客様のお式の様子)

「C’est beaux‥‥」(キレイ‥‥) 

そこには着る人にも見る人にも明かされる事はない 一つ一つの花びらをベールの上に咲かせてきた 一人一人のストーリーが凝縮されていて、何ともいえない一瞬、時間が止まった様な美しい光景が心に焼き付きました。


「俺は光らないんですか?!?」 

「光りたいの?!?」 
「当たり前ですよ!!ドレスはこんなに光るのに!」 
撮影前日、 こんなやり取りになって、耳を疑いました。 
なぜなら私たちは、どうしたらドレスが光るという所に彼らのテンションを持って行ったらいいか悩んでいたのですが、 彼らの意識はとっくに”光るコンセプトを表現する事に賭ける” そんな次元に飛んでいたからです。 慌てて翌日までにメンズ用の新たなライトを準備しました。 


そして当日、夜の撮影のため学校やご家族の許可をいただき、時間をずらして午後からの準備が始まりました。 そして夕暮れ時、通行人や街の人々の邪魔にならないようにと 街並に出ると、心配も緊張も吹き飛びました。


「Félicitations! おめでとう!」
「Heureux mariage!(幸せなご結婚を!)」

「C’est beaux!!」(キレイ!)
行き交う人々が次々と声をかけてくれます。
「Merci ! ありがとう!」
「Merci beaucoupe !! ありがとうございます!!」
自分達まで本当の結婚式かと思ってしまいそうでした。 




「本当に素敵な街だな。」と心から思える光景でした。
それは美しく仕上がったドレスや 制作に携わりモデルをしてくれた彼らからいただいた光景でもありました。 心に残るものは人と人との間で 響き合って時を超えていく様な気もします。

歴史的な一着がいつまでも人々の心を惹き付けるように。
そうしたものを作り上げる事を目指していきたいと 思い出すたびに新たな気持ちにさせられます。 






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