スクールのコラム01 フランス人のインターン生とウェディングのロングベール。パリのアトリエより

コラム1     

「単調な繰り返し」について
以前にこんな出来事がありました。パリのアトリエでフランス人のインターン生が来はじめた初日、ウェディングのロングベールに付けるシルクの花のモチーフを一緒に作って頂く事になりました。

「花びらは長いトレーンのベールの周囲を埋め尽くすもので、更に花の中にライトを組み込んで光らせたい。花嫁さんにも、また彼女を見る人たちも感動して頂 ける様な幸せが溢れる美しさをイメージして創り上げてほしい」と伝え、いくつも練習サンプルを作っていただき、その中でOKなものの基準を伝えて取り組ん でいただきました。

お洒落も何もかもアクティブで楽しい年頃の彼らが、花びらを立体的に重ねて縫いとめる作業を。元気な黒人の男の子が指に”rebelle fleur”と 書いて仕事をしていました。フランス語で意味はrebelle(反抗の/反逆的な)fleur(花)です。 



  楽しんでる様にも見えましたが、一日中だったのでイヤにならないかな?と思ったら、翌朝、その彼が、あまった花びらでセンスよく指輪とピアスを作って付け て登場し、何とも言えない新鮮な気持ちにさせられました。”rebelle fleur”は彼の大好きな歌手のリアーナのタトゥーに書かれていた言葉で、彼はまるでリアーナの衣装を手掛けるようなつもりで美しさをイメージして創っ ていたのでした。

 そのベールはお客様に喜ばれるものとなり、ライトはサービスで付けたので希望しないなら光らせなくてもいいとお伝えしていましたが、付けられました。




 単純な作業にも創造する 喜びや価値を見出すことが出来ると、楽しくなるばかりかシンプルな作業やステッチの一本にも美しさやオーラが出てくるのではないかと思いました。イニシャルや雪の 結晶の刺繡も単調な繰り返しですが、こうした形でシンプルな中にハッとする様な美しい瞬間を自らも感じたり、楽しんで表現していただけたら幸いです。

 自分の表現を通じて、たとえ世界の一部でも美しさや幸せで彩りたい。届けたい。というようなピュアな想いは何にも変えがたい美しさになるようにも感じます。




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